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映画女優に学ぶファッション~日本の女優編 その2~

 

 

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華やかなファッション業界を描いた「女の勲章」

 

では最初に、「女の勲章」のファッションをご紹介します。

「女の勲章」は、「沈まぬ太陽」や、「白い巨塔」でも有名な山崎豊子が原作で、吉村公三郎が監督を務めた1961年(昭和36年)公開の映画です。
これまでに何度もドラマ化されている、世代を超えて人気のある作品です。

大阪の船場の裕福な家庭に生まれた式子(京マチ子)は、戦争ですべてを失ってしまいましたが、
倫子(若尾文子)、富枝(中村玉緒)、かつ美(叶順子)の3人の弟子と共に、小さな洋裁教室を経営していました。
そこに、銀四郎(田宮二郎)という野心家の青年が現れ、彼の活躍により、聖和服飾学院が甲子園に誕生します。
そして、式子のデザインが「新しい大阪のモード」として脚光を浴びるようになります。
銀四郎の野望はとどまることを知らず、弟子の女性をも利用しながら、事業拡大を図り、利益を得ようとします。
このように、華やかなデザイナーの世界の裏側を描いた作品です。

この作品では、ファッション業界の話ということもあり、大映の看板女優がそれぞれにモード系の服を見事に着こなしています。
場面ごとに衣装が変わるので次はどんな衣装なのだろう?とワクワクします。
4人のファッションをそれぞれ見ていきましょう。

◆式子(京マチ子
シンプルなデザインの服に大ぶりなネックレスや帽子が効かせた衣装が特徴的です。

・グレーで黒ボタンのノーカラーコート、黒い帽子、黒の手袋
・黒のストライプのスーツ(襟にゴールドのパイピング)
・黒の七分袖の水玉ワンピース、黒の大ぶりのネックレス
・茶色のコート、水色のスカーフ
・白いストライプのワンピース、白い大ぶりのネックレス

◆倫子(若尾文子
グリーンの衣装が多く、ヒョウ柄もよく身につけています。

・グリーンのコート、スカーフ
・モスグリーンのシャツ、襟元にブローチ
ヒョウ柄のシャツ、ゴールドのネックレス
・白の花柄のVネックニット、グリーンのスカーフ、グリーンのスカート
・ベージュのニット、ヒョウ柄のスカーフ

◆富枝(中村玉緒
レッド系で上品でかわいらしい印象の衣装が多いです。

・赤いシャツ、白いニット帽
・赤い半袖ニット、パールのネックレス
・赤いチェックのワンピース、白いニット帽

◆かつ美(叶順子)
黒やブルー系の衣装が多く、黒ぶち眼鏡が知的な印象です。

・黒のシャツ、襟元にブルーのスカーフ
・グレーのツイードのワンピース
・ブルーのワンピース、白いコサージュ

このように、それぞれの個性に合わせた色と着こなしとなっています。

衣装を担当した中村乃武夫は、日本の服飾業界の草分け的存在のデザイナーです。
1960年(昭和35年)に、パリで初めてファッションショーを開催し、森英恵らと東京コレクショングループを結成しました。
1962年(昭和37年)には、日本ユニホームセンターの設立メンバーとなり、さまざまな企業の衣装を作りました。
そして、1970年(昭和45年)の大阪万博では、日本館の制服を担当しました。
さらに、美智子妃殿下の衣装を担当する皇室デザイナーとしても活躍していました。
秋篠宮紀子様のローブ・デコルテもデザインしています。

ファッション業界を描くあらすじに引き込まれつつ、今観ても古さを感じさせないおしゃれなファッションを堪能できる作品です。

 

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吉永小百合の眼鏡女子がかわいい「光る海」

 

つづいて、「光る海」をご紹介します。

「光る海」は、「青い山脈」などの作品で知られる、石坂洋次郎原作で、「月曜日のユカ」の中平康監督の1963年(昭和38年)公開の青春映画です。
日活のスターが勢ぞろいの豪華な作品で、当時18歳の吉永小百合が4歳ほど年上の役を演じています。
親世代には、田中絹代高峰三枝子森雅之といった戦前からのスターが名を連ねています。
芝のボーリングセンターや赤坂のナイトクラブ、ホテルオークラなど、古き良き東京の風景をカラーで楽しめます。

大学の英文科を卒業し、美枝子(吉永小百合)は作家志望、和子(十朱幸代)は貿易会社で勤め始めます。
野坂(浜田光夫)をはじめとした“七人のサムライ”もそれぞれの道に進んでいきました。
それぞれが仕事や恋愛、結婚などで悩みながらも成長していく、青春群像劇です。

主人公の美枝子(吉永小百合)は、男勝りな強気な性格で、ちょっとあまのじゃくなところがあります。
卒業式では、振袖を着て華やかな女性たちの中で、一人黒ぶち眼鏡に黒いスーツといった服装です。
それなのに、野坂を連れて、母と別れた父に卒業の報告に行く際には、振袖を着ていくのです。

◆美枝子(吉永小百合
・黒いダブルのスーツ、黒ぶち眼鏡、三つ編みを巻いたお団子ヘア
・グレーのノーカラーのスーツ、白いカットソー、黒ぶち眼鏡、黒いハンドバッグ
マスタード色のクルーネックニット(後ろにボタン)、グレーのタイトスカート
・黒いノーカラーのワンピース、ゴールドのペンダント、黒ぶち眼鏡
・グレーのスーツ、ストール、帽子
・ライトブルーの七分袖のスーツ、黒ぶち眼鏡
ショッキングピンクのシャツ、パープルのパンツ、ポニーテール
・ブルー系花柄シャツ、白いパンツ

◆和子(十朱幸代)
・草色のスーツ
・ピンク色のペイズリー柄ワンピース
・グリーンの花柄ノースリーブワンピース、パールのネックレス
・オフホワイトのワンピース

吉永小百合はシックだったり、個性的なファッションが多いのですが、十朱幸代は一貫して女性らしいファッションです。
まだ学生の役の和泉雅子も出演しており、ピンク色のワンピースや制服姿が愛らしいです。
テンポがよく、たくさんのおしゃれのヒントが散りばめられた作品なので、手に取ってみてください。

 

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京マチ子の七変化が楽しめる、「穴」

 

最後に、「穴」という作品をご紹介します。

 

「穴」は、「東京オリンピック」や「ビルマの竪琴」で知られる、市川崑監督による、1957年(昭和32年)公開の作品です。
コミカルな要素が満載の、スピーディな展開にドキドキするミステリー映画です。
京マチ子の体を張った演技に引き込まれます。
太陽の季節」で一躍有名になった、石原慎太郎が歌手役として出演しています。

出版社に勤めていた北長子(京マチ子)は、雑誌に書いた記事がもとで会社をクビになってしまいます。
やけになっていたところ、友人に金儲けの話を持ち掛けられます。
自らが1ヶ月間の失踪騒動を起こして、ルポを書き、雑誌に失踪者発見の懸賞記事を出すという企画を創立したばかりの雑誌社に売り込みます。
失踪のための元手がないので銀行に融資を頼んだところ、預金横領の事件に利用され、巻き込まれてしまいます。

この失踪時に正体を明かさないために、京マチ子はさまざまな変装をします。
時には、ロングヘアのカツラをかぶったボディコンの女性になったり、上京したばかりの和服姿の女性になったりもします。
そのあからさまな七変化がとても面白いのです。

京マチ子のスタイルは、

◆白い半袖のトップス、タイトスカートの上にスカーフ、丸い柄入りバッグ、目とリップにライン、ロングヘアのウィッグ
◆花柄のドレス、麦わら帽子、パンプス
◆黒のフレンチスリーブのトップス、サブリナパンツ
◆スキッパーシャツ、タイトスカート、クラッチバッグ

モノクロ映画なのが少し残念ですが、1950年代のファッションをたっぷりと楽しめます。
このほかに、預金横領の犯人の妹のふき子(川上康子)のボーダーシャツに人の柄のフレアスカートもとても可愛いです。

先が気になる展開にドキドキしながら、ファッションも楽しんでみてください。

いかがでしたか?
ストーリーもファッションもセンス抜群の3本の映画に、ぜひDVDなどで触れてみてください。

 

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