思わず買いたくなる!店舗マーチャンダイジングのポイント
前回はセット率アップについてご紹介しました。
今回は売上向上に向けたもう一つの手法として、買上率アップについてご紹介します。
そもそも買上率とは、「お店に入ってくださったお客様のうち、どのくらいのお客様が商品を購入してくれるか」を表すものです。
お店の売上の考え方を、もう一度復習してみましょう。
上記の売上表をご覧ください。
買上率が上がると、購入してくださったお客様の人数が増えるので、結果として売上が伸びます。
「購入してくださるお客様が増える」ということは、「お店やブランドのファンが増える」ということです。
そして、セット率と同じく、店舗マーチャンダイジングと接客の工夫次第で買上率を上げることができます。
「ほしいものがあったけど、何も買わないで出てきた」「なんとなく入ったお店だけど、接客されるうちにほしくなって購入した」といった経験はありませんか?
ぜひ、基本の手法を押さえて、接客レベルを向上させましょう。
1.必要な情報を伝える作戦
商品の購入を検討しているお客様全員に対して丁寧な接客ができれば理想ですが、時間的な余裕がないこともあります。
また、じっくり検討してから販売員に相談をしたいというタイプのお客様もいます。
そういった場合に備えて、
「お客様が自分自身で商品に関する情報を入手し、購入の検討ができる環境」
を整えておくことが大切です。
例えば、
「値札はちゃんとすべての商品についているか」
「おすすめの商品をお知らせするPOPなどの工夫ができているか」
「マネキンが身に着けている商品が、お客様の導線に沿って配置されているか」
といった、基本的なことが店舗内にて徹底してできているか確認することが重要です。
2.ダイレクトマーケティング作戦
お客様へのDMやメールマガジンを出しているお店も最近非常に多くなってきています。
また、各店舗やブランドごとにブログを運営しているケースも一般的になってきています。
そういったダイレクトマーケティングを行う際に、今おすすめの商品を正しく推薦して、「その商品を買いたい」という目的が明確なお客様を増やすことは、買上率を上げるにあたって非常に有効です。
DMは作ったことがないからわからないということや、お店の仕事が忙しすぎてブログの内容が単調になってしまうということもあるかもしれません。
そんな時に意識していただきたい大切なことは
「目の前にいるお客様に対して、商品を提案する気持ち」
で文面を作成するということです。
多くのお客様へ直接アプローチができる貴重な場でもあるので、有効に活用しましょう。
思わず買いたくなる!接客のポイント
続いて接客販売の工夫について基本を紹介します。
1.チャンス強調作戦
「今だけ」「限定」「X時までなら特典付き」そんな内容が気になって、商品に興味を持ったことはありませんか?
特別感を強調することで、「購入を迷っているお客様」の背中を押すのは、非常に有効な方法です。
「気に入った色が売り切れてしまった」「色はあるけどサイズが無い」「人気商品だったのですぐ売り切れた」ということはよく起こるものです。
タイミングがずれてしまって悔しい思いをした経験は、どんなお客様でも持っていることでしょう。
「そのカラーの商品は、今お手にとって頂いている商品で最後です」などの在庫状況を正確に伝えるだけでも、買上率はぐっと高くなります。
在庫の状況や商品の入荷予定を把握しておけば、この方法はいつでも利用できます。
商品の入れ替わりが早くなっているのが最近のファッショントレンドです。
購入機会が今後もあるかを正確にお客様に伝えることは、それだけで価値あるサービスになりますので、積極的に情報を把握し活用しましょう。
2.潜在ニーズ発掘作戦
お客様自身でも気が付いていないニーズのことを、「潜在ニーズ」といいます。
何か明確な目的があって来店しているお客様でも、自分の本質的なニーズに気が付いていないことは、よくあることです。
お客様へのヒアリングなどを通じて、潜在的なニーズを引き出してあげると、買上率はぐっと高くなります。
お客様をよく観察し、想像力を働かせたうえで、「XXがほしいということですが、もしかしてXXしたいのでしょうか?」といった問いかけをしていきましょう。
応用的なテクニックではありますが有効な手法になるので、是非チャレンジしてみてください。
講師の紹介
株式会社エムオーティクリエイション
代表取締役社長 川内由加
・サービス・マネジメント・コンサルタント
・キャリアカウンセラー
<米国CCE. Inc. 認定GCDF>
・国家資格キャリアコンサルタント
・サービス介助士・認知症介助士
<公益財団法人日本ケアフィット教育機構>
・英国国立ウェールズ大学院 経営学修士(MBA)
<MBA, The University of Wales, UK.>
・桜美林大学院 老年学修士
<桜美林大学老年学研究科シニアライフ研究会所属>
・経営倫理士
<特定非営利活動法人日本経営倫理士協会 主任フェロー研究員>
・特定非営利活動法人戦略的CSR研究会 理事
1982年 関西学院大学卒業後、株式会社ワールドへ入社。株式会社ワールドで、人事部・タケオキクチ事業部・株式会社ワールドストアパートナーズ(ワールドグループ販売会社)の代表取締役を経て、2001年にエムオーティクリエイションを設立。